2022/11/16 18:00


ジーンズの魅力の1つに「色落ち」があります。同じジーンズでも色落ちにより、表情がかわり、コーデの幅が広がります。自分で色落ちさせたジーンズは、同じ色落ちをしているものは世界中で1つしかなく、自分だけのオンリーワンとなる1着を作っていける楽しみもあります。ここでは、ジーンズをより自分の理想に近づける色落ちにするための方法をご紹介します。

デニムとジーンズの違い

ジーンズとはそもそもどういったものなんでしょうか。デニムと言う言葉があります。ジーンズとデニムってどう違うの?と思っていらっしゃる方もいるでしょう。ここではジーンズとデニムの違いについてご紹介します。

デニムとは

デニムとは一般的にはジーンズに使用される厚手の綾織物で出来た生地を指しています。インディゴ染めで作られたデニムは、ブルーデニム、ブルー以外の色に染められた生地は、カラーデニムと呼びます。

ジーンズとは

ジーンズとは、デニム生地で作られた衣類を意味しています。特にデニム生地で作られたパンツ類を指してジーンズと呼びます。デニム生地で作られたジャケットはジーンズジャケット(ジージャン)と呼ばれます。デニム製品といえば、ジーンズだけでなく、デニム生地を使用したすべてのファッションアイテムとなり、ジーンズと言えばデニム生地を使用したパンツと言うことになります。

何故ジーンズと呼ばれるように?

ジーンズで有名なリーバイ・ストラウス社。しかし当時はオーバーオールと呼んでいました。これがジーンズと呼ばれるようになった理由の1つに、同時イタリアのジェノバからアメリカに入ってきた作業用パンツのことを、ジェンズと呼んでいました。リーバイスのオーバーオールも、ジェンズと呼ばれ、これが徐々に変化しジーンズとなったという説があります。ちなみにデニムは、フランスのニーム地方で作られた織物(セルジュドニーム)が鈍ったものだと言われています。

ジーンズの色落ちの仕組み

一般的に私たちが着用しているジーンズは綾織と呼ばれる織り方で作られています。ジーンズ表面のインディゴブルーは縦糸の色になります。この縦糸は、基本的には伝統的な建染め、インディゴ染料が使用されています。インディゴ染料は、浸透力が弱く繊維内部まで染めることができません。つまり中心部は白く(中白)、外側は青い糸になります。浸透力が弱いだけでなく、吸着力も弱いため色落ちしやすいと言う性質を持っています。そのため摩擦による色落ちが簡単に発生します。摩擦が発生すると、ジーンズのたて糸表面が削れ、中心部の白い部分が出てきます。これがジーンズの色落ちの仕組みです。
ヴィンテージジーンズに見られる縦落ちは、この縦糸が重要な役割を担っています。縦糸の太さが均一でない織り方のいわば不具合により現れる縦落ちは、当時不良品とみなされていました。現在では機械化がすすみ、織り方はもちろん糸の生産技術も向上したため縦落ちは見ることが出来なくなりました。

色落ちのかっこいいジーンズにしよう

色落ちのかっこいいジーンズとはどういったものなのでしょうか。これには好みが分かれますが一般的には、アタリがしっかり出ておりインディゴブルーのグラデーションが美しく現れたジーンズを、色落ちがかっこいいジーンズといいます。きれいなグラデーションと、しっかりとしたアタリ。これを自分の履くジーンズに表現していくことがジーンズ好きの醍醐味の1つと言えます。自分の理想の形に色落ちさせていく方法も様々です。そしてその色落ちの仕方などは、ジーンズの色落ち特有の用語があります。ここからはジーンズの色落ち専門用語と、きれいに色落ちさせていく方法をご紹介していきます。

ジーンズの色落ち①エイジングとは

エイジングとは経年変化のことです。ジーンズを長年履くことにより、色落ちしていくこと、その変化を追うことをエイジングと言う場合があります。毎日同じジーンズを履いたとき、その様子を撮影したり、洗濯のたびに撮影したりしてビフォーアフターの変化を楽しむ。ジーンズのエイジング記録をすることは、ジーンズの色落ちを自分の理想に近づける第一歩でもあります。また人工的にエイジングを進めることをエイジング加工、色落ち加工といいます。

ジーンズの色落ち②リジッドとワンウォッシュの違い

ジーンズには糊を落とす前、未洗いのリジットデニムと呼ばれるものと、ウォッシュ加工をしたワンウォッシュ、最初から中古感を出したエイジング、色落ち加工したものと3つに分けることができます。自分で色落ちを楽しむなら、リジッドかワンウォッシュがおすすめです。

ウォッシュ(水洗い)加工とは

水洗い加工とはジーンズの色落ち加工の上で最も基本となる加工方法です。50〜80℃程度のお湯で、10〜60分程度加工し、リジットデニムに付着している糊、樹脂などを落とす作業です。インディゴ染料はほとんど落とすことなく、風合いは固く洗いざらし感があります。またこの工程で、ジーンズをできるだけ縮めることも目的の1つです。また後述しますが、各色落ち加工の前処理としても、重要な工程です。ワンウォッシュデニムと呼ばれるものは、この水洗い加工を1度行い、糊を落とす工程を経たジーンズです。

ジーンズの色落ち③アタリをつけよう

色落ちのかっこいいジーンズの特徴であるアタリ。アタリとはジーンズについたシワ部分が色落ちして、表面が白く現れることです。ここではかっこいいアタリの出し方、部分的に色を落とすためのコツをご紹介していきます。

ヒゲの出し方とは?

ジーンズを履いたまま座ると、シワが出来ます。このジーンズの前部分のシワがエイジングによって色落ちが進むと、動物のヒゲのような色落ちになります。文字通りヒゲとは、部分的に色を落とすことで現れる色落ちがヒゲ状になることです。このヒゲをきれいに色落ちさせるには、とにかくジーンズを履く機会を増やすことです。履く機会を増やすことで、ジーンズにシワがくっきりつきます。シワがくっきりつくとアタリが出やすくなり、部分的に色を落とすことになります。

ハチノスの出し方とは?


ジーンズを履くと膝の裏にシワがつきます。シワがつくとアタリが出やすくなり色落ちが進みます。色落ちが進むと8の字の形が膝裏に現れます。このアタリがついた色落ち部分をハチノスといいます。ジージャンの場合は肘の内側につきます。このアタリをきれいに色落ちさせるには、やはり着用する機会を増やすことです。そうすることでシワがくっきりとつき、アタリが出やすくなるのです。

細めのジーンスのほうがヒゲ、ハチノス出やすい

ヒゲやハチノスがしっかりと現れるのは、太目のジーンズより細めのジーンズ。アタリが出た部分とそうでない部分のメリハリをよりしっかりと出したい方は、細めのジーンズを選ぶと良いでしょう。私の場合、洗濯した後乾燥機を使用し、思いのほか縮んでしまい着用出来なくなった苦い過去がありますが・・・。

ジーンズの色落ち④縦落ちとは

縦落ちとは、デニムの色落ちが縦方向に線を描くように進む色落ちの1つになります。縦落ちはヴィンテージ系のジーンズによく見られる色落ちの1つで、当時は縦糸の太さが均一でなかったため、このような色落ちになっていました。特に太もも部分から膝にかけてこのような縦落ちが多く見られます。ところが縦落ちが楽しめるヴィンテージジーンズ、しかもデッドストックとなるととても簡単には手に入りません。しかしヴィンテージレプリカジーンズでは、美しい縦落ちを再現することが可能です。てっとり早い縦落ちの出し方は、ヴィンテージレプリカジーンズを購入するということになります。

ジーンズの色落ち⑤洗濯の頻度

自分のジーンズをどのように色落ちさせたいかにもよりますが、ヒゲやハチノスをしっかりと出したい場合は、最低でも購入してから最初の半年は洗濯せず、履き続けることをおすすめします。その後は履いている時間にもよりますが、1ヵ月に1回程度の洗濯で、柔らかな濃淡が好きな方は、適度に洗濯すれば良いでしょう。洗濯する場合は必ず裏返しにして洗濯しましょう。また洗濯に使用する洗剤は、蛍光材など漂白剤が入っていない洗剤を使用することをおすすめします。

根性履きとは?

根性履きとは、まだ糊を落とす前のゴワゴワするリジットデニムを履いて過ごすことです。根性履きの名の通り、かなり履きづらいため、根性履きの名がつきました。しかもこの履きづらいまま半年から1年以上履き続けるのです。まさに根性履きの名にふさわしいですね。根性履きを続けると、ヒゲやハチノスなどのアタリがメリハリがつきます。そして根性履きは、あまり洗濯しない為、汚れが付きやすくヴィンテージ風の色落ちになることです。根性履きの楽しみは、年に1回あるかないかの洗濯の日。劇的なビフォーアフターが楽しめるのが根性履きを続けたご褒美です。

根性履きをするなら、ジーンズは20OZ(オンス)以下で秋冬から始めることをおすすめします。春夏から始めると、汗などで汚れ、匂いがきつくなるからです。また私は24OZ(オンス)のジーンズを根性履きしましたが、これはかなり辛かったです。かなり硬いので最初の1週間は、体を曲げたり足を曲げたりするのが、辛かった思い出があります。

ある程度ヒゲやハチノスがしっかりと色落ちする期間(エイジング期間)は、リジットから履き込んでおよそ2〜4年後。そんなに待てない!という方は、色落ち加工済みのジーンズを購入するのも1つの方法です。ジーンズの色落ち、エイジング加工の技術は、日本が一番優れていると言われています。部分的に色を落とす作業は職人達の仕事ですが、自分でエイジング加工しても。ここではジーンズの色落ち、エイジング加工についてエイジング加工動画と併せてご紹介します。

ジーンズの色落ち加工:ヒゲ加工


 
ジーンズの色落ち加工の1つヒゲ加工とは、あらかじめジーンズに合わせてシワをかたどった板(凹凸のあるヒゲ台)を用意し、その板にジーンズを履かせ、表面をヤスリで削ることで、シワの部分を線状に色を落とすことを、ヒゲ加工と入ります。これは自宅でも可能です。ヒゲの出し方として、ジーンズを履いたまま、目の細かいサンドペーパーでヒゲ部分のアタリを削ることにより、自分なりのヒゲを出す出し方です。やりすぎるとジーンズの破損の原因ともなります。

ジーンズの色落ち加工:シェービング加工

 
ジーンズの色落ち加工の種類の1つシェービングとは、文字通りジーンズを削ることで、色を落とす加工で、より中古感を出す出し方の加工です。膝やお尻、太もも、腰回りをサンドペーパーやブラシを用いて白くなるまで色を落とす職人達が動画でも確認できます。さらにジーンズのインディゴブルーの濃淡を出す出し方として、次亜塩素酸ソーダなどで、塩素系脱色剤を染み込ませた布で擦り、部分的に色を落とすことで、濃淡をはっきり出す出し方をする場合もあります。

ジーンズの色落ち加工:サンドブラスト加工

 
ジーンズの色落ち加工の1つ、サンドブラスト加工とは、高圧噴射装置を使い、太ももやお尻の部分に直接吹き付けて表面の色を削る加工方法です。吹き付ける砂の種類や速度によって、色落ちの風合いが変わってきます。主に太もも部分の色落ちを出す出し方ですが、これを自宅で行う場合は、ジーンズを履いたまま畳やカーペットの上を匍匐前進。ジーンズの色落ちは、色落ちを全く気にしない子供たちの方が、意外に良いアタリ、色落ちになったりする理由は、ジーンズを履いたままいろんな動き方をするということなのでしょうね。

ジーンズの色落ち加工:ピン打ち加工


ジーンズの色落ち加工の1つである、ピン打ち加工とは、あらかじめジーンズの色を落とす部分に、ピンで固定し、ウォッシュ工程後に、ピンを外すことで、色落ちやシワの立体感を出す出し方です。ヒゲなどのシワを出したい部分をあらかじめピンで固定。ウォッシュ加工後に、ピンを外すとシワの凸部のみ色落ちし、凹部は色落ちせず残ります。これは自宅でも可能です。ヒゲ部分など色を落とす部分をピンで留め、そのまま洗濯機で洗濯したり、目の細かいサンドペーパーで削れば、ヒゲなどのアタリが出せますよ。

ジーンズの色落ち加工:ストーンウォッシュ加工

 
ジーンズの色落ち加工の1つであるストーンウォッシュ加工とは、ジーンズと石、そして水を入れてストーンウォッシュ専用のワッシャーに入れて洗う加工方法です。一般にストーンウォッシュ加工を施したジーンズは、繊維の表面に毛羽が出て、柔らかい風合いに仕上がります。一緒に入れる石を変えることで、仕上がり後の風合いが変化します。

最後に

いかがでしたでしょうか。ここではジーンズの色落ちについてご紹介しました。できればリジッドジーンズを購入し、自分自身でじっくりとエイジングしていくことをおすすめしますが、それが難しいと言われる方には、色落ち加工したジーンズを履いてみてはいかがでしょうか。またここでは色落ち加工の方法についても説明しています。自宅で出来る色落ち加工もありますので、ご自身でチャレンジしてみても面白いですよ。

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