2022/01/18 20:00
セルビッチデニムとは
セルビッチデニムの誕生
現在よりおよそ、150年ほど昔。19世紀の終わりごろにセルビッチデニムは生まれました。当時工場ではシャトルと呼ばれる器具を経糸の間にくぐらせながら織る、シャトル織機で生産されていました。その生地の端がほつれないように、ほつれ止めの耳をつける必要がありました。これがセルビッチです。この生地を無駄なく使うことで耳付きジーンズが誕生します。赤い線が入っているものが通称RED TAB「赤耳」と呼ばれ、現在も愛好家たちの間で親しまれています。このほつれ止めこそがビンテージデニムの象徴となったのです。
セルビッチデニムの終焉
時代が移り変わり、もともと作業着だったジーンズは、ファッションアイテムとして昇華し、ますます需要が高まりました。そのせいか、大量にデニムを生産する機会が誕生します。現在のデニムのほとんどはエアージェット織機で生産されています。エアージェット織機はシャトル織機と比べ、生産速度が約5倍になりました。生地幅が約80㎝と少なく、生産効率の悪いシャトル織機の役目は終わったかのように思われました。
人気が再燃した90年代
しかし、90年代に入るとヴィンテージジーンズブームが到来します。ヴィンテージジーンズはもちろんセルビッチデニムで生産されたジーンズ。古着市場で高騰したセルビッチジーンズを手に入れたい人たちが増えてきたらどうなるでしょうか。そうです、もう1度セルビッチデニムを生産し、その生地をつかってジーンズを作ってしまえ!ということになりました。かく言う私も、1987年に登場したリーバイス初期の復刻ジーンズ502xxを、1万円以下で手に入れました。(正確にはセルビッチジーンズではなかったのですが)そうして登場した復刻ジーンズやレプリカジーンズは、瞬く間にジーンズファンの心をつかみ、数多くのジーンズメーカーを誕生させました。
セルビッチジーンズはお値段が高い?
セルビッチデニムは先述したとおり、生地を織る幅がすごく少ないのです。しかも無人で織るエアージェット織機とは異なり、職人が機械にはりついて、操作する必要があります。つまりかなり効率が悪いのです。そのため生地のお値段が高くなります。ジーンズの材料である生地の値段が高いと、製品であるジーンズも自ずと価格が高くなるのです。
セルビッチジーンズの魅力
セルビッチデニムを織るシャトル織機は、実は織り方が不均等になるんです。そしてシュリンク(縮み)も大きいのが特徴です。しかしデメリットと思われるセルビッチデニムの特徴が、魅力に変わるのです。縮幅が大きいことは、洗濯後、履き続けると体になじんでいく楽しみを生み出します。荒く不均等な目は、生地にアタリと呼ばれる独特の色落ち、ヒゲやハチノスを生み出します。この色落ちがヴィンテージジーンズと遜色ないことこそ、セルビッチジーンズの人気を再燃させたのです。そしてロールアップして、耳を見せる着こなしが楽しめるのです。
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