2023/04/17 12:00
始めに
ジーンズの色落ちの仕組み
一般的に私たちが着用しているジーンズは綾織と呼ばれる織り方で作られています。ジーンズ表面のインディゴブルーは縦糸の色になります。この縦糸は、基本的には伝統的な建染め、インディゴ染料が使用されています。インディゴ染料は、浸透力が弱く繊維内部まで染めることができません。つまり中心部は白く(中白)、外側は青い糸になります。浸透力が弱いだけでなく、吸着力も弱いため色落ちしやすいと言う性質を持っています。そのため摩擦による色落ちが簡単に発生します。摩擦が発生すると、ジーンズのたて糸表面が削れ、中心部の白い部分が出てきます。これがジーンズの色落ちの仕組みです。 ヴィンテージジーンズに見られる縦落ちは、この縦糸が重要な役割を担っています。縦糸の太さが均一でない織り方のいわば不具合により現れる縦落ちは、当時不良品とみなされていました。現在では機械化がすすみ、織り方はもちろん糸の生産技術も向上したため縦落ちは見ることが出来なくなりました。
色落ちのかっこいいジーンズにしよう
色落ちのかっこいいジーンズとはどういったものなのでしょうか。これには好みが分かれますが一般的には、アタリがしっかり出ておりインディゴブルーのグラデーションが美しく現れたジーンズを、色落ちがかっこいいジーンズといいます。きれいなグラデーションと、しっかりとしたアタリ。これを自分の履くジーンズに表現していくことがジーンズ好きの醍醐味の1つと言えます。自分の理想の形に色落ちさせていく方法も様々です。そしてその色落ちの仕方などは、ジーンズの色落ち特有の用語があります。ここからはジーンズの色落ち専門用語と、きれいに色落ちさせていく方法をご紹介していきます。
ジーンズの色落ち①エイジングとは
エイジングとは経年変化のことです。ジーンズを長年履くことにより、色落ちしていくこと、その変化を追うことをエイジングと言う場合があります。毎日同じジーンズを履いたとき、その様子を撮影したり、洗濯のたびに撮影したりしてビフォーアフターの変化を楽しむ。ジーンズのエイジング記録をすることは、ジーンズの色落ちを自分の理想に近づける第一歩でもあります。また人工的にエイジングを進めることをエイジング加工、色落ち加工といいます。
ジーンズの色落ち②リジッドとワンウォッシュの違い
ジーンズには糊を落とす前、未洗いのリジットデニムと呼ばれるものと、ウォッシュ加工をしたワンウォッシュ、最初から中古感を出したエイジング、色落ち加工したものと3つに分けることができます。自分で色落ちを楽しむなら、リジッドかワンウォッシュがおすすめです。
ウォッシュ(水洗い)加工とは
水洗い加工とはジーンズの色落ち加工の上で最も基本となる加工方法です。50〜80℃程度のお湯で、10〜60分程度加工し、リジットデニムに付着している糊、樹脂などを落とす作業です。インディゴ染料はほとんど落とすことなく、風合いは固く洗いざらし感があります。またこの工程で、ジーンズをできるだけ縮めることも目的の1つです。また後述しますが、各色落ち加工の前処理としても、重要な工程です。ワンウォッシュデニムと呼ばれるものは、この水洗い加工を1度行い、糊を落とす工程を経たジーンズです。
ジーンズの色落ち③アタリをつけよう
色落ちのかっこいいジーンズの特徴であるアタリ。アタリとはジーンズについたシワ部分が色落ちして、表面が白く現れることです。ここではかっこいいアタリの出し方、部分的に色を落とすためのコツをご紹介していきます。
ヒゲの出し方とは?
ハチノスの出し方とは?
ジーンズを履くと膝の裏にシワがつきます。シワがつくとアタリが出やすくなり色落ちが進みます。色落ちが進むと8の字の形が膝裏に現れます。このアタリがついた色落ち部分をハチノスといいます。ジージャンの場合は肘の内側につきます。このアタリをきれいに色落ちさせるには、やはり着用する機会を増やすことです。そうすることでシワがくっきりとつき、アタリが出やすくなるのです。
細めのジーンスのほうがヒゲ、ハチノス出やすい
ヒゲやハチノスがしっかりと現れるのは、太目のジーンズより細めのジーンズ。アタリが出た部分とそうでない部分のメリハリをよりしっかりと出したい方は、細めのジーンズを選ぶと良いでしょう。私の場合、洗濯した後乾燥機を使用し、思いのほか縮んでしまい着用出来なくなった苦い過去がありますが・・・。
ジーンズの色落ち④縦落ちとは
縦落ちとは、デニムの色落ちが縦方向に線を描くように進む色落ちの1つになります。縦落ちはヴィンテージ系のジーンズによく見られる色落ちの1つで、当時は縦糸の太さが均一でなかったため、このような色落ちになっていました。特に太もも部分から膝にかけてこのような縦落ちが多く見られます。ところが縦落ちが楽しめるヴィンテージジーンズ、しかもデッドストックとなるととても簡単には手に入りません。しかしヴィンテージレプリカジーンズでは、美しい縦落ちを再現することが可能です。てっとり早い縦落ちの出し方は、ヴィンテージレプリカジーンズを購入するということになります。
ジーンズの色落ち⑤洗濯の頻度
自分のジーンズをどのように色落ちさせたいかにもよりますが、ヒゲやハチノスをしっかりと出したい場合は、最低でも購入してから最初の半年は洗濯せず、履き続けることをおすすめします。その後は履いている時間にもよりますが、1ヵ月に1回程度の洗濯で、柔らかな濃淡が好きな方は、適度に洗濯すれば良いでしょう。洗濯する場合は必ず裏返しにして洗濯しましょう。また洗濯に使用する洗剤は、蛍光材など漂白剤が入っていない洗剤を使用することをおすすめします。
ジーンズ洗濯に使ってはいけない洗剤とは
ジーンズを洗濯する場合、どのような洗濯洗剤を使っても良いのでしょうか。ジーンズの自然な色落ちを楽しみたい場合は、注意しなければならないのが洗剤なのです。ブリーチなどの漂白剤、洗いざらしの固い生地が苦手だからといって、柔軟剤は使わない方が良いでしょう。また、蛍光剤が入っている洗剤も、漂白剤と同じような成分ですので使わないようにしてください。蛍光剤が入っている洗剤は、色あせの原因になります。ここからはジーンズの洗濯を失敗したくない方に、おすすめの洗剤をご紹介します。
ジーンズ洗濯におすすめの洗剤1.モモタロウ洗剤
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コットンの自然な洗いざらしの仕上がりを目指した、桃太郎ジーンズが販売しているジーンズ専用の洗剤です。品質はもちろん色落ちの良さで定評がある桃太郎が開発した洗剤で、蛍光剤や漂白剤、柔軟剤などの添加剤は入っておらず、きれいな色落ち、自然な色落ちを楽しみたいあなたにおすすめの洗剤です。価格は2000円程度です。
ジーンズ洗濯におすすめの洗剤2.ウェアハウス ナノコロイド
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人気ジーンズメーカーウエアハウスが開発したジーンズ用洗剤です。もちろん蛍光剤や、漂白剤、柔軟剤等は使用しておらず、デニム生地を痛めずに汚れを落とし切れない色落ちが楽しめます。また高い抗菌、消臭効果があります。人や自然に優しい洗剤で、排水も自然界のバクテリアによって99%生分解。石油系界面活性剤アルコールなどを使っていないため、肌の弱い方でも安心して使えます。価格は2500円程度です。
ジーンズ洗濯におすすめの洗剤3.ザ ランドレスデニムウォッシュ
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ザ ランドレスデニムウォッシュは、大切なジーンズの汚れを落とし、色落ちから守る洗剤です。洗濯後ほんのりと良い香りがします。また洗いざらしの固いジーンズが、苦手な人にもおすすめ。柔軟剤成分が入っているため、固い生地から柔らかな生地へと、変化します。価格は2000円程度です。
ジーンズ洗濯におすすめの洗剤4.ジェイウォッシャー
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無香料、無添加のジーンズ専用洗剤ジェイウォッシャー。汗や皮脂などはもちろん、油などの強力な汚れもしっかりと落とす洗剤ですが、インディゴの色落ちは防ぐ人気洗剤です。界面活性剤が極めて少なく、人にも自然にも優しい洗剤。もちろんジーンズだけでなく、Tシャツやスウェットなど色柄物にもおすすめの洗剤です。価格は2000円程度です。
最後に豆知識
何故ジーンズと呼ばれるように?
ジーンズで有名なリーバイ・ストラウス社。しかし当時はオーバーオールと呼んでいました。これがジーンズと呼ばれるようになった理由の1つに、同時イタリアのジェノバからアメリカに入ってきた作業用パンツのことを、ジェンズと呼んでいました。リーバイスのオーバーオールも、ジェンズと呼ばれ、これが徐々に変化しジーンズとなったという説があります。ちなみにデニムは、フランスのニーム地方で作られた織物(セルジュドニーム)が鈍ったものだと言われています。